2026.02.27
やすみの話

一般企業の休日といえば、日曜・祝日、そして土曜。
仕事をする者にとって、週休二日制はすでに当たり前のものになって久しい。
我々が働く建設現場にも、行政の指導により、少しずつ週休二日の流れが入ってきている。

休みが増えること自体に異論はない。
納得できないのは、
休みが増えても、工期は変わらないという点だ。
現場は土日休み。しかし工期は従来通り。
足りなくなった日数は、
「各社で増員して対応してください」
「請け負った以上、当然ですよね」
という話になる。
天候不良で工程が遅れても関係ない。
とにかく、決められた日までに終わらせること。
遅れれば、次の仕事はない。
なぜ、休みが増えても工期が変わらないのか。
理由の一つは、金額の問題だ。
週休二日になれば、本来は
・工期の延長
・人員の増加
・それに伴うコスト増
が必要になる。

しかし現実には、工事金額は以前と大きく変わらない。
発注者はこれまでの相場で発注する。
元請けも、その条件の中で受注する。
そして下請けもまた、
「その金額でもやる会社」
として仕事を受ける。
受注競争の中で、条件を理由に断れば、仕事は他社に流れる。
結果として、
金額は変わらない。
工期も変わらない。
しかし、休みだけが増える。
その不足分を、現場の工夫と人の負担で埋めているのが現実だ。
発注者にとって重要なのは、引き渡し日に完成していることだけだ。
契約はその前提で結ばれている。
遅れれば違約金。
そのプレッシャーは、必然的に現場へ降りてくる。

そしてよくあるのが、
前半の遅れや調整不足のツケが、後半に一気に押し寄せるパターンだ。
しかし現場は、あくまで土日休み。
そこで、ゼネコン職員だけ交代で週休二日というウルトラC。
元請けとしては労働基準を守っている。
制度上の問題もない。
だが、下請けはどうか。
人員に余裕のある会社なら対応できる。
しかし、少人数の会社ではそうはいかない。
結果として、土日も祝日も関係なくなる。
働き方改革により、下請けにも36協定や有給取得など、以前とは違う管理が求められている。
それ自体は必要なことだと思う。
だが現実は、
工期は短いまま
日数は減る
人を増やせと言われる
休みは確保しろと言われる
その矛盾のしわ寄せが、一番下に集まってくる。
休みを増やすことが問題ではない。
問題なのは、工程はそのままで、負担だけ下に回す構造だ。
週休二日を本気で進めるなら、工期の考え方そのものを変えなければ意味がない。
制度だけを変えて、現場の条件を変えなければ、
負担は見えにくいところに移動するだけだ。
そしてその行き先は、決まって現場の一番下になる。
働き方改革は、いいことだと思う。
週休二日。残業規制。有給取得。
書類の上では、現場の環境はどんどん良くなっている。
元請けも休んでいる。管理体制も整っている。
制度も守られている。
問題はない。
ただ一つ、現場の人間が休めていないだけだ。
工期は変わらない。金額も変わらない。
でも日数だけが減る。
足りない分は、
努力でカバー、段取りでカバー、
増員でカバー、休日出勤でカバー
つまり、現場の体力でカバーしている。
制度は守られている。報告書もきれいだ。
だから、この仕組みは、きっと成功しているのだと思う。
ただ、
その成功の上にいるのは、休めている人たちで、
その下にいるのは、休めない人たちだ。
休みが増えたのではなく、
休める人が変わっただけなのかもしれない。

もし本当に現場のための改革を目指すなら、
休みの日数ではなく、あるべき工期と金額を変えるべきだと私は思う。
それが変わらない限り、
これからも現場は、制度に守られながら
制度に追われ続けることになる。
ではまた、どこかの屋上で。
山本
カテゴリ:やべぇ話
2026.02.23
哀愁のコの字切り
以前、アスファルト防水で使うアスファルトコンパウンドを運ぶためのドーコ缶の話を書きました。
今回はウレタン防水の一斗缶の話です。
どのメーカーでもウレタン材料はほぼ100%スチール製一斗缶(18.039L)で出荷されています。
ごく一部、ポリエチレンペール缶+内袋仕様や、ドラム缶など明らかに違う梱包形態を除いて一斗缶流通が普通としておきます。
塗膜防水なので、材料を持ち運ぶのは一斗缶かバケツになりますが、小分け以外は混ぜた材料を、天端を切ったバケツ代わりの一斗缶に入れて運び、そのまま使用するのが一般的です。
で、その攪拌済み材料の持ち運び用一斗缶をどう作るか。
アスファルトの時に話したドーコ缶作りは、缶の天端を切り取って缶横に穴をあけ、番線を通して持ち手を作る製作方法でした。
ウレタン防水の一斗缶の切り方。これが業界では地味に分かれます。
・コの字切り。ほぼ大方の防水屋さんはこのスタイル。
・塗装屋さん風の切り欠き持ち手。
・独自進化型。
1-2回使用すると、缶に残った材料が硬化し始めて使えなくなり、そのまま潰して捨てるだけの運命ですが、それだけに使用時の切り欠きは職人の性格や現場の思想が出ます。
※現場の基本はあくまでも上位業者のやり方に従う。
それが普通です。
最もポピュラーな「コの字切り」は、一斗缶の特性上持ち手が斜めになります(持ち手は対角線上のラインに付いているため)。

そのため運搬時に人差し指側へ負担が集中します。
慣れれば問題ないと言われればそれまでですが、斜め持ちになることで微妙に体勢が不安定になる。
長距離の運搬だと普通に手が痛いです。
←ペンキ屋さんスタイル① ペンキ屋さんスタイル②→

ペンキ屋さんスタイル①のように、斜め持ちが嫌で上部を追加で切り欠いて持ち手を作る業者もいます。持つのは楽になりますが持ち手の位置が高くなる。
平場では大差ありませんが、段差や障害物の多い現場、階段では少し扱いづらくなります。
ペンキ屋さんスタイル②は重心が高くなるため割と安定して持ち運ぶことが可能です。理想的な持ち手ともいえるでしょう。
いずれもペンキ屋さんスタイルは切り欠きの手間はもちろん、切り欠いた部分でケガをしたり、フタ裏などの汚れを毎回きれいにしないと持つたびに軍手を汚すことになる。
その手であちこち触れてしまう可能性もある。
慣れている人は問題ないかもしれませんが、ここは欠点といえます。
どれも一長一短です。
弊社は三角切りを採用しています。

あまり見かけませんが、この切り欠きを採用しているのは意味があります。
持ち手が水平になることで手の痛みを軽減し、運搬が少しだけ楽になる。
ウレタンを流すとき誰もが缶の角から出しますが、三角切りだとその動きが安定する。
持ちやすく、流す位置の視点もブレにくい。
他の切り方の弱点をある程度補ってくれます。
もちろん欠点もあります。
残した三角部分に攪拌機が当たりにくく、フチに未混合が残る可能性がある。
ただそれは攪拌時にゴムベラやスクイージーでしごけば済む話で、ウレタン防水材を扱う以上どんな切り方でも必要な作業の一つです。
三角切りによる弊害は今のところこれくらいですが、他にもっと良い方法があるかもしれない。
どれが絶対正義とも言い切れません。
攪拌についてはまた別の機会に。
ウインチで缶を吊る場合。
最近の現場は厳しいので、そもそも口を切った缶を吊って~はご法度になりつつありますが、それは置いといて。

経験談ですが、一斗缶用の吊り金具を使って荷揚げしたとき、足場上で金具から缶を抜く作業でも、僅かながら切り欠き形状による効率の差は出ます。
これは防水の施工優劣を語りたいわけではありません。
どれが正しい、どれが一番だという結論を付けたいわけでもないです。
少子高齢化。人材不足。
どの業界も同じですが、昔ながらのやり方を「これが正解」と固定観念化するだけでなく、
こうすれば職人は少し楽になるんじゃないか。
こうすれば効率が上がるんじゃないか。
こうすれば経験の浅い人でも安定して仕事ができるんじゃないか。
そういうことを小さい部分から考えるほうが、これからの時代は現実的だと思っています。
一斗缶の切り方ひとつの話です。
でも現場は、小さなことの積み重ねでできています。
ではまた、どこかの屋上で。
山本
今回はウレタン防水の一斗缶の話です。
どのメーカーでもウレタン材料はほぼ100%スチール製一斗缶(18.039L)で出荷されています。
ごく一部、ポリエチレンペール缶+内袋仕様や、ドラム缶など明らかに違う梱包形態を除いて一斗缶流通が普通としておきます。
塗膜防水なので、材料を持ち運ぶのは一斗缶かバケツになりますが、小分け以外は混ぜた材料を、天端を切ったバケツ代わりの一斗缶に入れて運び、そのまま使用するのが一般的です。
で、その攪拌済み材料の持ち運び用一斗缶をどう作るか。
アスファルトの時に話したドーコ缶作りは、缶の天端を切り取って缶横に穴をあけ、番線を通して持ち手を作る製作方法でした。
ウレタン防水の一斗缶の切り方。これが業界では地味に分かれます。
・コの字切り。ほぼ大方の防水屋さんはこのスタイル。
・塗装屋さん風の切り欠き持ち手。
・独自進化型。
1-2回使用すると、缶に残った材料が硬化し始めて使えなくなり、そのまま潰して捨てるだけの運命ですが、それだけに使用時の切り欠きは職人の性格や現場の思想が出ます。
※現場の基本はあくまでも上位業者のやり方に従う。
それが普通です。
最もポピュラーな「コの字切り」は、一斗缶の特性上持ち手が斜めになります(持ち手は対角線上のラインに付いているため)。

そのため運搬時に人差し指側へ負担が集中します。
慣れれば問題ないと言われればそれまでですが、斜め持ちになることで微妙に体勢が不安定になる。
長距離の運搬だと普通に手が痛いです。
←ペンキ屋さんスタイル① ペンキ屋さんスタイル②→

ペンキ屋さんスタイル①のように、斜め持ちが嫌で上部を追加で切り欠いて持ち手を作る業者もいます。持つのは楽になりますが持ち手の位置が高くなる。
平場では大差ありませんが、段差や障害物の多い現場、階段では少し扱いづらくなります。
ペンキ屋さんスタイル②は重心が高くなるため割と安定して持ち運ぶことが可能です。理想的な持ち手ともいえるでしょう。
いずれもペンキ屋さんスタイルは切り欠きの手間はもちろん、切り欠いた部分でケガをしたり、フタ裏などの汚れを毎回きれいにしないと持つたびに軍手を汚すことになる。
その手であちこち触れてしまう可能性もある。
慣れている人は問題ないかもしれませんが、ここは欠点といえます。
どれも一長一短です。
弊社は三角切りを採用しています。

あまり見かけませんが、この切り欠きを採用しているのは意味があります。
持ち手が水平になることで手の痛みを軽減し、運搬が少しだけ楽になる。
ウレタンを流すとき誰もが缶の角から出しますが、三角切りだとその動きが安定する。
持ちやすく、流す位置の視点もブレにくい。
他の切り方の弱点をある程度補ってくれます。
もちろん欠点もあります。
残した三角部分に攪拌機が当たりにくく、フチに未混合が残る可能性がある。
ただそれは攪拌時にゴムベラやスクイージーでしごけば済む話で、ウレタン防水材を扱う以上どんな切り方でも必要な作業の一つです。
三角切りによる弊害は今のところこれくらいですが、他にもっと良い方法があるかもしれない。
どれが絶対正義とも言い切れません。
攪拌についてはまた別の機会に。
ウインチで缶を吊る場合。
最近の現場は厳しいので、そもそも口を切った缶を吊って~はご法度になりつつありますが、それは置いといて。

経験談ですが、一斗缶用の吊り金具を使って荷揚げしたとき、足場上で金具から缶を抜く作業でも、僅かながら切り欠き形状による効率の差は出ます。
これは防水の施工優劣を語りたいわけではありません。
どれが正しい、どれが一番だという結論を付けたいわけでもないです。
少子高齢化。人材不足。
どの業界も同じですが、昔ながらのやり方を「これが正解」と固定観念化するだけでなく、
こうすれば職人は少し楽になるんじゃないか。
こうすれば効率が上がるんじゃないか。
こうすれば経験の浅い人でも安定して仕事ができるんじゃないか。
そういうことを小さい部分から考えるほうが、これからの時代は現実的だと思っています。
一斗缶の切り方ひとつの話です。
でも現場は、小さなことの積み重ねでできています。
ではまた、どこかの屋上で。
山本
カテゴリ:聞く意味が無い話
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